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日本茶BANKが紹介するお茶の事

2022.05.30 Update

最澄からのいにしえの息吹@朝宮茶(滋賀県甲賀市)昇龍園さん

#信楽焼 #日本五大銘茶 #朝宮茶 #滋賀県

1200年の歴史を誇る銘茶 朝宮茶


 “滋賀県甲賀市信楽町 朝宮茶”
 「宮」が付いているので、なんとなく厳かなイメージでした。

 ここはあの有名な「信楽焼」の産地ですが、その昔は「朝宮茶」の方が知られていたそう。
 1200年の歴史を誇る、“日本最古の銘茶” と言われています。 

 朝宮茶は、今から1200年前、嵯峨天皇御代が岩谷山(現在の仙禅寺一円:信楽町朝宮)に茶の実を植えられたのを起源として、今日まで永い歳月に磨かれ、広く有名な茶人達に愛されてきました。
 日本五大銘茶※1 である朝宮は、京都府と滋賀県との県境に位置し、標高が400mほどの高地、昼夜の気温差が激しく、霧が多い気候風土である事から、日本でも最上の茶産地と言われています。

 スンバラシイ!
 どうりで生産者とお話しすると誇りと自信に溢れてらっしゃる方が多い。
 「最高の宇治茶はこの朝宮のお茶です!」と。

※1・・・朝宮(滋賀)宇治(京都)狭山(埼玉)川根・本山(静岡)
 

 ↓ 最も見晴らしの良い畑。

↓ 一面の茶畑ですが、これ摘むの大変でしょうね・・・

 朝宮茶は、天皇献上茶として伝統の製茶を今に守っています。
 ここのお茶、頂いて率直に「深い!」と感じる。。

朝宮茶の生産者訪問(甲賀市信楽町下朝宮 昇龍園)

 昇龍園の服部さん、早朝、モーニングティーを茶畑で飲ませてくれました。
霧の中で頂いた早朝の一滴。

自然と涙が出てくるぐらい、ありがたく旨かった。

 朝のお茶は、眠っていた僕の身体の一つ一つの細胞を優しく起こしてくれる。
 そんな穏やかなイメージの霧の茶畑の出来事でした。

 この印象は、生涯消えない。。茶産地で出会った景色と空気と味わいの記憶。
 ティーツーリズムのコンテンツを作る時に、この様な印象は大事なんだと改めて思った出来事です。

 地域のお茶を守っていきたい。服部さんの熱意がひしひしと伝わる。

 そして、この地域の共同工場を見せてもらったのですが、全国の茶園さんによくあるあのメジャーな設備メーカーではなく、聞いたことがない会社の設備でした(現在は既になくなっているとのこと・・・)。
 それを大事にメンテナンスしながら数十年も使っているそう。

朝宮茶を育む粘土質の土壌

 服部さんのお茶は、茶葉自身の香りに特徴がある。葉っぱそのものが伝統?という様な、なんだか高貴な茶葉の芯の強さを感じます。
 飲み込んだ後の深いふんわりとした甘さもビックリ。。。
 「これ、やぶきた?」
 定番のやぶきたも地域が変わればここまで味わいが違うのか・・・ これはこの信楽の地の土壌も関係しているかも・・・

 触ればポロポロと崩れる岩、茶畑には粘土。

 僕にしては珍しく静かに驚愕しながら、改めて日本の古都のお茶をしみじみ頂きました。

朝宮茶発祥の地、岩谷観音仙禅寺

 茶畑に向かう途中、服部さんが寄ってくれたのは、ここ岩谷観音仙禅寺。
 朝宮茶発祥地の碑があります。

おごそか。

 茶の道は、朝宮に始まり、朝宮に終わる、と言われます。
 かの俳聖、松尾芭蕉もこの地を訪れて茶に纏わる一句を詠んでいます。
 「木隠れて茶摘みも聞くやほととぎす」

 京都御所にほど近いこの朝宮の茶産地をゆっくりと巡っていましたら、他の地域とは違う趣を持つ姿に多く出会えました。

信楽町は、お茶と陶器の町

 服部さんがご紹介くださった、信楽陶璃窯の大西左朗さん。お茶が好きで好きでたまらない素敵な陶工さんです。

 僕らからしてみればこんなにありがたい陶工さんはいない。
 左朗さんはお茶が好きなんです。朝宮のお茶が。

 

 だから服部さんのお茶を極上に煎れる事ができる。 好きだからこそ研究を重ねています。


 この地域のグリッと太いお茶を煎れる為にはとても適した美しい茶器。

 古からの伝統の産地で、地域の職人さんとの連携に支えられ、これまで朝宮の茶作りは続いてきました。
 これからも茶作りを続けて行く為に、今、何が必要なのか?
 多くの課題を共に考えて行こうと思っています。

 服部さんのお茶は、藪北や在来の煎茶。
 あと、親子焙じ茶、紅茶も、この地ならではの味わいが・・・

 やはり、違うんです。この産地の煎茶の味わいは。
 この地域には魔法がかかっている様な、そんな深い味わいがあります。

昇龍園の基礎情報

◆銘柄:朝宮茶 滋賀県甲賀市
◆生産者名:昇龍園
◆住所:滋賀県甲賀市信楽町
◆HP:https://shouryuuen.com/