師走!年末!お正月!とバタバタしているうちに、あっと言う間に1月も半ばを過ぎ、スーパーや百貨店では、「節分」に関する商品が並ぶようになりましたね。
「節分て何だっけ?」というわけで、すこしおさらいしておきます。
「節分」とは、その文字の通り、「季節の分かれ目」という意味。元々は「立春」「立夏」「立秋」「立冬」それぞれの前日を指していました。
古くは、春・夏・秋・冬の季節の変わり目に年4回、古い季節の邪気を払い、新しい季節に福を迎えるため、「節分」として様々な行事が行われてきましたが、立春の前日の節分だけが残り、江戸時代の後期には他の3回の節分はすたれていきました。
なぜ「立春の前日の節分」だけが残ったのか。それは、立春が春の始まり、旧暦の1年の始まりにあたる日であり、その前日である節分は、現在でいう「大晦日」と同じように考えられていたためと考えられています。
立春の節分に行われる行事は、中国で行われていた「邪神や疫病を追い払い福を招く祭り」である「儺(ぬお)」が元になったといわれています。宮廷で行われるものは「大儺(たいな)」と呼ばれ、
「周礼(しゅらい)※」によると、
※周礼(しゅらい)・・・儒教の経典。「儀礼(ぎらい)」「礼記(らいき)」とあわせて三礼(さんらい)とよぶ。
祈祷師が、熊の皮をかぶって4つの面をつけ、黒い上着と赤い袴を着て、矛や盾などの武器を持った、「方相氏(ほうそうし)」に扮して、宮廷の中から疫鬼を追い出すしきたりを行ったといいます。
日本には、陰陽道の行事として取り入れられ、文武天皇の慶雲3年(706年)に疫病が流行し、多くの人が亡くなった際、宮中で初めて行われたといわれています。
「追儺(ついな)」と呼ばれたこのしきたりは、俗に「鬼やらい」とも呼ばれ、平安時代には年中行事として大晦日に行われるようになりました。
中国同様、「方相氏」と呼ばれる厄払い役とその手下がいて、役人たちがそれに扮し、掛け声をかけながら宮廷内を回ったといいます。このとき宮廷内の貴族たちは弓を放ったり、振り太鼓(ふりつづみ)を振って、鬼を追い払う「方相氏」を応援しました。
また、「方相氏」は、4つの面と赤い長衣を身に着け、手には矛と盾を持っていたということなので、中国の儀式をそのまま取り入れていたようです。
面白いことに、当時は鬼を追い払う役目であったはずの「方相氏」が、時とともに、鬼として追い払われる側となり、これが現在の「豆をまいて鬼を追い払う」節分のならわしの起源といわれています。
では、なぜ節分に「豆」が用いられるようになったのか・・・?
・中国の医薬書に大豆は鬼毒に効果があると書かれていたこと、また、中国の「大儺」でも五穀(麻・黍(きび)・稷(きび)・麦・豆)を用いて厄除けを行っていたことから。
・「魔滅(まめつ)」。つまり、魔物を滅するという意味から。
・「魔目(まめ)」。つまり、鬼の目を打つという意味から。
など、諸説あるようですが、何にせよ、米と同じ重要なエネルギー源であり、霊力を持つとされる豆をまくことで、鬼(病や災い)を祓うことができるとされてきました。
「豆まき」とともに、「年取り豆」を食べるというのも、節分の習わしの1つですね。
豆まき後、自分の年に1つ加えた数の豆(数え年分の豆)を食べると、身体が丈夫になり、病気をせずに一年を過ごせると言われている、あれです。
が、年々豆の数が多くなる・・・そんなに食べられない・・・という方にもおススメなのが、
「福茶」です。
年末のコラムで、お正月に飲む「大福茶(おおぶくちゃ)」について紹介させていただきましたが、節分の「福茶」も、お正月の「大福茶」と同じ意味を持つものです。
詳細な説明は、「大福茶」のコラムに記載したので割愛しますが、平安時代中期に村上天皇(946~967年)が元日に六波羅蜜寺のお茶を飲まれるようになったことが「大福茶」のはじまり。
前の項で、立春は「季節を分ける日」、その前日が「節分」と記載しましたが、「その季節の始まりに飲む」お茶として、大福茶と同様に、邪気を祓い福を呼ぶお茶とされているのが、この「福茶」。
一般的には、節分用の福豆と、昆布、梅干しを入れることが多いようですが、大福茶と同じく、厳密なルールはないので、皆さんそれぞれの「福茶」を淹れて、1年間の健康を祈願してください。
ご参考までに、下記に材料とつくり方を記載します。
≪材料≫
①福豆・・・3粒
②昆布(塩昆布やオツマミ昆布でOK)・・・1つまみ程度
③梅干し・・・1粒(種をとっておくと飲みやすいです)
④日本茶・・・茶さじ1杯程度
⑤熱湯・・・180cc程度
≪淹れ方≫
1、①②③を茶碗に入れる
2、④と⑤を急須に入れ、お茶を淹れる
3、上記1の茶碗に、2のお茶を注ぐ
とても簡単です。
ちなみに、少し面倒ですが、福豆は炒ると香ばしくてさらに美味しくなります。また、3粒なのは、「3」は奇数で割り切れないことから「縁が切れない」という意味があり、「満つ」とも読めることから縁起のよい数字とされているからだそう。
前述の通り、ルールはないので、福豆・昆布・梅は茶碗ではなく、茶葉と一緒に急須に入れてもよいですし、昆布と梅干しは入れず福豆のみを使用してもOKです。日本茶も、煎茶はもちろん、ほうじ茶や玄米茶など、なんでも構いません。
季節の変わり目で体調を崩しやすい時期こそ、健康維持に効果がある飲み物とされるお茶を!そこに福豆の縁起をプラスして、この冬を、またこの1年を健康に過ごしましょう!