この地域のお茶の総称は、八女茶(やめちゃ)。
八女市の中にある星野村では星野茶、矢部村では矢部茶、上陽町では上陽茶などと、それぞれの地域名称がお茶に付いています。
ほとんどが深蒸し。そして煎茶。
甘くてコクがあり旨味の強いお茶で、ここは高級玉露の産地としても知られています。
八女茶のはじまりは、僧周瑞が1423年に霊巌寺を建立するとともに、お茶の栽培を伝えたのが由来とされています。
お茶は仏教の伝来と同時に日本にもたらされたとされていますが、もしかすると日本のどこかの山中に、それ以前に、日本固有のお茶の木があるかもしれないと、時々そんなことを考えます。
今回訪問したのは、八女市矢部村の栗原製茶さん。
当社主催の「国産お茶フェス」ではこの栗原製茶さんの「緑茶」と「紅茶」がダブル受賞となった事もある実力派です。
兄弟で製茶業を営んでいますが、兄の悠次さんが県議会議員に出馬し当選していますので、もっぱら今は弟の昭夫さんがメインでお茶を作っています。
そしてここは八女市の中でも最も奥の奥地。
標高は600m~700m。
すぐそこは、大分県(中津江村)との県境。
栗原製茶さんのお茶は、いわゆる「山手のお茶」です。
綺麗な川の横にある工場。
工場の入り口には大切にしているお地蔵さまが。
八女市の茶畑の中でも、標高が低い地域に比べると、ここは新茶のスタートが1ヶ月程遅い為、これまではそれがネックとなっていましたが、いまやお茶は「香りの時代」。
消費者はその高い香りや生産者の人柄にファンが付く時代。
栗原兄弟の人当たりの良さと安心感を与えるルックス、そして香り高いお茶。
お茶ファンが訪ねてくることも多い栗原製茶。
丁寧にお茶作りを伝えています。
今後の福岡のお茶生産者の代表となって活躍されるのを楽しみにしています。
栗原製茶さんは、全国茶品評会で農林水産大臣賞受賞を受賞した「玉露」をはじめ、幅広い種類のお茶を作っています。
ここ、八女茶の産地は、狭山茶と同じく、
自園自製自販(自分で生産し、自分で製造し、自分で販売する)
の生産者も多く、直接買いに来るお客様を大切にしている地域でもあります。
毎年、来て頂けるお客様も今では高齢化しており、生産者と同様の課題が・・・
これは、どの地域も同じですね。
お茶の嗜好が旨味から香りに変わっている事、現在の嗜好と古からの伝統を交差するニーズにどう対応するのか・・・・今どの茶産地もその対応に迫られています。
栗原製茶は、この地域の高齢になった生産者から茶葉を受け取り、製茶を行う事もしています。
そうやって伝統の奥八女茶「矢部茶」を守り、受け継いでいます。
新しい事にも真摯に取組むその謙虚さが味に表れている栗原さんのお茶。
山の精気を頂けるそんな味です。
◆銘柄:矢部茶(八女茶)福岡県八女市
◆生産者名:栗原製茶
◆住所:福岡県八女市矢部村北矢部4236
◆HP:https://www.e-yamecha.com/