「伊勢茶」は三重県で生産されるお茶の総称であり、2007年には特許庁の地域ブランド(地域団体商標登録制度)に認定されている。
県内で生産される伊勢茶の種類は大きく二つで、「北勢地域のかぶせ茶」「南勢地域の深蒸し煎茶」である。
葉肉が厚く、滋味濃厚で3煎目まで味や香気の変化がないことが特徴とされ、その品質は高く評価されているものの、一方で調合材料としても重宝されており、他府県産の銘柄茶の原料用茶として出荷されるため、栽培面積・荒茶生産量共に全国3位のシェアを誇る主要生産県であるにも拘わらず、「伊勢茶」の名前は有名産地に比べ知られていない(加工用原料茶では、三重県が荒茶生産量全国第1位。全国シェアの46%を占める)。
『水沢村郷土資料』には、延喜年間(901~922年)、飯盛山浄林寺(現在の水沢町一乗寺)にてお茶が栽培された、という記録があり、これが、三重県のお茶栽培及び伊勢茶の始まりとされている。
江戸時代初期にかけて、伊勢神宮の御祈祷師や伊勢商人によって、三重でつくられた茶が全国に運ばれるようになり、江戸時代後期には、常願寺(じょうがんじ)の中川教宏(なかがわきょうこう)が、宇治から茶の種子を持ち帰り、茶栽培をこの地(旧水沢村・現四日市市)の産業として発展させた。
また、幕末から明治初期にかけては、大谷嘉兵衛(おおたにかへえ)の尽力により大量の伊勢茶が海外に輸出されるようになり、海外貿易における重要な役割を担っていた。
※特許庁 地域団体商標制度(地域ブランド)登録案件:
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/chidan/shoukai/ichiran/5040759.html
※参照元
三重県庁
https://www.pref.mie.lg.jp/NOUSAN/HP/77019045892.htm